Nudge

道又 蒼彩

Nudge

2026年9月18日 – 10月4日

Texts

版画という行為 ―「ITERATION」展に寄せて―

版画という行為 ―「ITERATION」展に寄せて―

情報やイメージが、物理的なメディアを介さずに流通するようになり、すでに長い時間が経ちました。日々の営みの中で、情報を紙面でなくディスプレイ上で見ることの方が多い人もいるのではないでしょうか。

堤麻乃の拾い上げ

堤麻乃の拾い上げ

選ばれた一枚と、選ばれなかった一枚。並べても、なぜそれが選ばれたのかは分からない。ここで起きているのは選択ではなく、抽出である。堤麻乃『In progress - Unfolded』評。

萩中茉優のメゾチント

萩中茉優のメゾチント

メゾチントは銅板に無数の傷を打ち込み、削り、磨くことで黒と白を立ち上げる古い版画技法である。本稿は、その深い黒の物質性、光を内包しながら沈み込む黒、地の白よりも輝く白を起点に、萩中の制作を辿る。学部から大学院へと、萩中はモチーフの表現者から黒そのものの探求者へと深化し、ベルソーの番手や目立ての回数といった多数のパラメータを変えながら理想の黒を追い求めた。《干物脱走》では、縄に連ねられた干物の魚が一匹ずつ足を持ち、それぞれ固有の表情で描き分けられている。食材として一括りにされることへの静かな抵抗。メゾチントの黒は、この不条理でコミカルな脱走劇を生死の境へと引き上げ、存在の問いを内包する。