アレーテイア

アレーテイア

浅野 雅姫, 石黒 光, 石松 由布, 白井 桜子, 高橋 美紗貴, 田辺 朔葉, 松田 菜優子, 安村 日菜子

2026年6月5日 – 6月28日

aaploitは2026年6月、ギャラリー活動開始から4周年を記念するグループ展「アレーテイア」を開催します。

本展は、絵画を中心に8人の作家によって構成されます。それぞれの作品が、何かがそこに在るための条件を露わにします。

対象がそこに在るための条件そのものが、一から構築される。 制御を超えて、素材が流れていくことが引き受けられる。 眼差しの堆積が、一枚の油彩へと蒸留される。 描くという行為そのものが、覆われることなく画面に晒される。

作家それぞれの異なる強度をもつ「現れ」が交錯し、作品の前に立った鑑賞者へ静かに問いかける。それが本展の構造です。

アレーテイア(ἀλήθεια)とは、マルティン・ハイデガーが古代ギリシャ語の語源に遡って読み直した「真理」の在り方を示す言葉です。 a-letheia ─ 隠されていないこと。覆いが取り除かれ、何かが立ち現れてくる。その運動そのものを指します。 本展はこの概念を理論として提示するのではなく、作品の前に立つ経験のなかに生起する出来事として開かれます。

aaploitは2022年6月の活動開始以来、批評と作品の往還を、展覧会という場で実践してきました。4年目の節目となる本展では、何かが現れる場所であるとはどういうことかという問いを、批評的な厚みをもつ8人の作家の実践とともに開きます。ぜひご高覧ください。

アレーテイア

会期
2026年6月5日 – 6月28日
オープン
会期中の金、土、日 13:00 – 18:00 ※会期中の他の日程の観覧をご希望の場合にはご予約ください。
会場
aaploit, Tokyo

浅野 雅姫

2000年生

油彩画とインスタレーションを通じて、西洋美術史に繰り返されてきた視線の非対称性を主題に制作する。ティツィアーノやパルマ・イル・ベッキオの構図を踏襲しつつ、古典絵画が神話の修辞で覆い隠してきた性的・経済的構造を、悪戯心とともに転倒させる。実在するセックスワーカーとの対話を重ね、彼女たちの経験に向き合いながら制作を行う。その根底にあるのは、美術史と現代社会の双方に通底する女性蔑視への怒りである。愛知県立芸術大学大学院修了。2000年愛知県生まれ。

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石黒 光

2002年生

物質界と精神界の狭間に生じる界面に、絵画を位置づける。語られなかった違和や震え、実体を失った気配の輪郭をすくい取る。 主な展覧会に、個展「witch craft」(haco-art brewing gallery-、東京、2024)、グループ展「キアスム」(aaploit、東京、2025)など。日本交通文化協会第44期国際瀧富士美術賞優秀賞(2023)、第9回石本正日本画大賞展特別賞(2024)ほか受賞。 2002年日本・山形県生まれ。東北芸術工科大学 芸術学部 美術科 日本画コースを卒業後、同大学大学院 芸術工学研究科 芸術文化専攻 絵画研究領域・日本画を修了。

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石松 由布

1999年生

シナベニヤに和紙を貼り、岩絵具・胡粉・墨で植物の図像を描く。木の地と紙の表面の双方に像が現れ、層のあいだを漂うように立ち上がる。日本画が前提としてきた支持体の透明性をほどき、光と身体の移動とともに揺らぐ画面として絵画を成立させる。1999年大分県生まれ。2025年佐賀大学大学院地域デザイン研究科日本画専攻修了。

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白井 桜子

2001年生

白井桜子は、見ることと見られることの関係を主題に制作するアーティストである。木目込み人形の技法を援用し、布を支持体に差し込むことで内部と表面が分離しない構造を形成する。鑑賞者の距離や位置によって見え方が変化するその絵画は、能動と受動が交差したまま決着しない視線の状態を構造として体現している。

2001年兵庫県神戸市生まれ、京都を拠点に活動。バンタンデザイン専門学校ファッションデザインコース卒業後、京都芸術大学油画コースを経て、同大学院修士課程修了(2026年)。2025年クマ財団クリエイター支援奨学金第9期生採択。主な展覧会に「Artists' Fair Kyoto 2025」(京都国立博物館明治古都館)、「KUMA EXHIBITION 2026」(SPIRAL、東京)。2026年京都芸術大学大学院修了展優秀賞。

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高橋 美紗貴

2001年生

高橋美紗貴は、本来の機能を失ったもの、役目を終えたものを主なモチーフに絵画を制作する画家である。描くことを、見えるものを写し取る行為ではなく、対象が画面に在るための条件を一から構築する行為として捉える。背景の一点までを雰囲気としてではなく、対象と同じ必然性のなかに置く。機能が剥がれたときに構造が純粋に立ち現れ、その姿が軽やかに見える画面は、見ることの前提そのものを露わにする。

2001年福島県生まれ、東京を拠点に活動。武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻卒業(2024年)、同大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了(2026年)。

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田辺 朔葉

「他者を認識するとはどのようなことなのか」を問いとして、肖像画制作を行う。モデルとの対話から始まり、家族、友人、その人を想起させる見知らぬ人々へと取材を広げ、10,000枚を超えることもある写真から断片を選び、ひとつの顔へと編み上げる。画面に現れるインパストの物質感は、ひとつの顔の内に重ねられた時間の堆積を示すようである。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻在籍。2025年、第5回ホキ美術館大賞展入選。

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松田 菜優子

2002年生

松田菜優子は、ステイン技法を基底とする絵画を制作する。布に色が染み込む過程をコントロールしながら、画面に色彩が及ぶ領域とそうでない領域を分節し、絵画と素地のあいだの境界を、画面内のモチーフ間の関係と同じ強度で扱う。植物、人物、風景は一体化しつつも、わずかに異なる存在として画面に佇み、視線は要素のあいだを移動しながら、自らの解釈を組み立てる。

2002年愛知県生まれ。2025年武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻卒業、現在同大学大学院在籍。主な展覧会に「FACE展2024」(SOMPO美術館、東京)、「五美大交流展」(東京展、2024)、「春のあしおとⅡ」(鈴画廊、東京、2024)、「針一本足りないために」(gallery33 south、東京、2023)。「五美大交流展」東京展特別推薦賞(2024)、「第49回美術の祭典東京展」奨励賞(2023)受賞。

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安村 日菜子

2000年生

安村日菜子は、海から拾い上げた漂着ごみを呼び継ぎの技法で接ぎ合わせ、ひとつの形へと結び直す。割れた器の欠損部に別の器の破片を呼び寄せるこの修復術を、元の場所も用途も失った漂着物へ転用するとき、由来の異なる時間と地理がひとつの輪郭のなかで隣接しはじめる。2000年広島県出身。

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