アーティスト・ステートメント

幼少期に住んでいた家は、壁や天井、床がすべて異なる素材や模様で構成された空間であった。私はその模様の線をぼんやりと辿るうちに、単なる模様であったものが次第に人や動物の形として立ち現れる経験をした。この経験から、私は自ら世界を見ようとし、能動的に世界を見ていたと考えている。

しかし制服を着るようになってからは、ただ見られるという無力さを強く感じるようになった。制服は全員が同じであるからこそ、生まれ持った差異をかえって強調する装置のように感じられた。他者の視線を強く意識し、「見られる自分」として立つ時間が増えていった。

その後、私服を選択するようになり、見られることを前提としながらも、見られ方に関与できる感覚が生まれた。完全に見られ方をコントロールするわけではないが、全くの受動でもない。その中間にある視線の状態を、「装う視線」と呼ぶ。

制作においては、日本人形の木目込み人形の技法を参照し、布を支持体に差し込んでいる。布は内部へ入り込みながら一部が表面に残り、内と外、表と奥が明確に分離しない構造を形成する。鑑賞者の距離や位置によって見え方が変化することで、視線が行き来する状態そのものを、絵画の構造として立ち上げている。

経歴

白井桜子は、見ることと見られることの関係を主題に制作するアーティストである。木目込み人形の技法を援用し、布を支持体に差し込むことで内部と表面が分離しない構造を形成する。鑑賞者の距離や位置によって見え方が変化するその絵画は、能動と受動が交差したまま決着しない視線の状態を構造として体現している。

2001年兵庫県神戸市生まれ、京都を拠点に活動。バンタンデザイン専門学校ファッションデザインコース卒業後、京都芸術大学油画コースを経て、同大学院修士課程修了(2026年)。2025年クマ財団クリエイター支援奨学金第9期生採択。主な展覧会に「Artists' Fair Kyoto 2025」(京都国立博物館明治古都館)、「KUMA EXHIBITION 2026」(SPIRAL、東京)。2026年京都芸術大学大学院修了展優秀賞。

CV

学歴

2021(仮)

バンタンデザイン専門学校 ファッションデザインコース 卒業

2024

京都芸術大学 美術工芸学科 油画コース 卒業

2026

京都芸術大学 大学院 修士課程 美術工芸領域 油画分野 修了

グループ展(抜粋)

2026

『KUMA EXHIBITION 2026』, SPIRAL, 東京

『京都芸術大学 卒業展 大学院修了展』, 京都芸術大学, 京都

『DEGREE SHOW/CAPS2025』, 京都芸術大学, 京都

2025

『Ringo Banana Kiwi』, studio dami, 京都

『HOP/CAPS2025』, 京都芸術大学, 京都

『SPURT2025』, 京都芸術大学, 京都

『CAPS:Contemporary Art Practice | Studio CAPS 2025』, なんば高島屋, 大阪

『Skeptically Curious ─ 価値の変成をめぐる複数の試み』, みずほ銀行京都支店, 京都

『OPEN STUDIO2024』, 京都芸術大学, 京都

2024

『HOP展』, 京都芸術大学, 京都

『京都芸術大学 卒業展 大学院修了展』, 京都芸術大学, 京都

『A-LAB Artist Gate'24』, a-lab, 兵庫

『Explore Kyoto vol.2』, 宝ヶ池公園, 京都

2023

『JOHNAN STUDENTS' ART AWARD』, 京都芸術大学, 京都

アートフェア

2025

ARTISTS' FAIR KYOTO 2025, 京都国立博物館明治古都館, 京都

受賞・助成

2026

京都芸術大学 卒業展 大学院修了展, 優秀賞

2025

クマ財団 クリエイター支援奨学金支援制度, 第9期生採択

2024

京都芸術大学 卒業展 大学院修了展, 奨励賞

2023

JOHNAN STUDENTS' ART AWARD, 準大賞