商業ギャラリー(コマーシャルギャラリー)には所属契約があります。作家の作品を専属的に取り扱う契約で、基本的には、その作家の新作を入手するには、所属契約を結んだギャラリーを経由することになります。その契約の及ぶ範囲にも取り決めがあり、例えば日本国内に限るなどエリアによって区切ることもあります。所属作家、専属契約、Represented Artistなどの呼び名があります。取り扱いは、その作家の作品をギャラリーが取り次げるという意味合いで、専属ではないものの継続的な関係があることを表す場合が多いです。
所属作家に対しては、ギャラリーのコミットメントが一段強くなる傾向があります。専任の担当者がついたり、作家のキャリア形成をともに考えたりします。定期的な発表の機会をつくり、作品に関する問い合わせや販売の手続きなどをギャラリーが引き受けます。
コレクター側の視点からすると、所属作家はどのように見えるのか。そのギャラリーが作家と中長期的な関係を持ち、作家のキャリアをともに作っていくという姿勢を見ることになります。ギャラリーの色も、所属作家の顔ぶれから垣間見ることができます。
最近は、SNSでの発信などにより、作家から直接作品を迎えることも増えてきました。所属の形も、時代とともに変化していくものでしょう。
所属契約と言いますが、実際に契約書を交わす例はそれほど多くないようです。ただし、契約書がなくても契約は成立しています。口約束でも契約です(第三者が内容を判断できないという問題は残ります)。だからこそ、何を約束したのかを確かめておくことが重要です。
所属契約は、その後の作家のキャリア形成に大きな影響を与えるので、慎重に検討する必要があります。所属作家があまりにも多いギャラリーでは、所属してみたものの発表の機会が極端に減ってしまうことがあります。また、専属であるために、他の企画での展示に制限がかかることもあります。作家の制作スタイルにあわせた選択が大事でしょう。この件に限りませんが、契約に何が含まれていて、どこに解釈の余地があるのか、契約を終了するにはどうすればよいのかを確認するべきです。
aaploitでは、所属にあたって契約書を交わします。キャリア形成や制作についての相談にも応じますが、定期的な展示の機会をつくることが最も重要だと考えています。
ここでは作家とギャラリーとの契約について触れましたが、作家と作品の所有者とのあいだにも約束があります。コンセプチュアル・アートの指示書は、契約書に近い働きをします。絵画などの作品にも指示書が用意されるケースがあります。