球体関節人形は様々な素材から作られます。また選択した素材・技法によって、一点ものになるか、同じものを複数作ることができるかが分かれます。素材の違いは、見た目や手触りの違いであると同時に、その人形が世界に何体存在しうるのかの違いでもあります。
一点ものの人形
粘土で作る球体関節人形は、手で成形した形がそのまま作品になります。現在よく使われるのは石粉粘土で、石の粉を含み、乾くと硬くなり、削ったり磨いたりして仕上げることができます。ただし粘土は、型を取るための原型にも使われます。その場合は、次の型から作る人形の出発点になります。
型から作る人形
型から作る球体関節人形には、ビスクドールとキャストドールがあります。どちらも原型から型を取り、そこに材料を流し込んで作りますが、素材と工程が異なります。ビスクドールは、石膏の型に磁器の泥を流し込んで焼成し、彩色して仕上げます。19世紀のフランスやドイツで発達した技法です。キャストドールは、型にレジン(樹脂)を流して作ります。どちらも同じ型から複数の人形が生まれるので、版画やブロンズ彫刻と同じく、何体作ったのかという問いが生じます。メーカーが製造・販売する球体関節人形は、この型による制作を量産へと広げたものです。これに対し、作家が自ら手がけた人形は、創作球体関節人形と呼ばれて区別されます。
そのほかの素材
珍しいものでは、木彫で作られた球体関節人形もあります。ブロンズで鋳造するものは、彫刻と同じ仕組みで作られます。FRP(繊維強化プラスチック)も、型を使う素材です。近年は3Dプリントも使われるようになりました。データがあればいくらでも出力できるので、写真やデジタルの作品と同じく、複製と一点ものの境目が問われます。