アレーテイア(ἀλήθεια)は、古代ギリシャ語で「真理」を意味する言葉です。語の成り立ちをたどると、a-(否定)とlēthē(忘却、隠れていること)からなり、「隠されていないこと」を意味します。哲学者マルティン・ハイデッガーは、この語源に遡って真理の在り方を読み直しました。真理とは、正しい答えがどこかに置かれていることではなく、覆いが取り除かれ、何かが立ち現れてくる、その運動そのものである、と。ハイデッガーは、芸術作品こそ、そうした現れが起きる場所だと考えました。
2026年6月、aaploitは活動開始から4周年を記念して、「アレーテイア」という展覧会を開きました。参加したアーティストは浅野雅姫、石黒光、石松由布、白井桜子、高橋美紗貴、田辺朔葉、松田菜優子、安村日菜子の8人です。対象がそこに在るための条件を一から組み立てる絵画、描く行為そのものが覆われずに晒される絵画。それぞれの作品が、何かがそこに在るための条件を露わにしていました。
このうち石黒、石松、松田の3人は、前年の「キアスム」にも参加しています。キアスムが、見ることは同時に見られることでもある、という見ることの条件を置いたとすれば、アレーテイアは、その条件の下で、隠れていたものが開かれていく場所でした。
展覧会のテキストでは、アレーテイアという言葉の説明を最後に置きました。先に概念を示すと、見る人はその枠で作品を見てしまいます。作品の前に立った後で言葉が来て、自分が感じていたものに名前がつく。隠れていたものが最後に現れる、という順序そのものを、テキストの組み立てにも託しました。
参考文献
マルティン・ハイデッガー『芸術作品の根源』関口浩訳、平凡社(平凡社ライブラリー)、2008年