石黒 光
PAINTING
暗号
2024
メディウム木製パネルにキャンバス、鉛筆、膠、岩絵具、砂
サイズ466 × 527 mm (18 ⅜ × 20 ¾ inches)
二人の顔に口はない。画面の下の青い部分は、キャンバスそのものが切り取られている。支持体が開口し、言語以前の沈黙が、物理的な穴として現れる。
画面中央から広がる同心円は、しかし止まらない。波紋は二人の輪郭へと向かい、届き、そしてさらに外へと拡散していく。それは世界一般へ向けて発信された信号ではない。受け取るべき者が、はじめから決まっている暗号だ。
二人はその暗号を知っている。だから語らない。口がないのではなく、語る必要がないのだ。
信号は二人を超えて伝播する。しかし解読できるのは二人だけかもしれない——あるいは、まだ知らないだけで、この暗号を受信できる誰かが、どこかにいるのかもしれない。鑑賞者はその外側に立ちながら、同時に潜在的な受信者でもある。親密さは閉じていない。ただ、まだ届いていないだけだ。