野村美術賞受賞 特別展

野村美術賞受賞 特別展

植松 美月

2023年7月1日 – 7月2日

この度 aaploit では植松美月の野村美術賞受賞を記念し、7/1と7/2の二日間、特別展を開催します。植松は東京藝術大学 美術研究科 彫刻専攻 博士後期課程を修了しました。

植松は紙を使った彫刻作品を制作しており、東京藝術大学の博士審査展で提示された作品は、圧倒的な存在感を示していました。

本展示では新作二点を提示します。

アーティストによる作品説明

紙に水を含ませる行為に花の要素を感じたことから、ひとひらの花びらが生まれるまでのエネルギーを制作することを考えた。またその花は、太陽エネルギーを受けて咲きひらくイメージから、作品タイトルを決めた。インクの色は、青を空、赤を太陽の色としてそれぞれ選択した。

紙が入るサイズのパッドに青のインクを溜め、紙の全体を染め、スポイトで赤のインクを垂らし、再び青のインクに沈ませ、赤のラインを残しつつ混色する。繰り返すうちに、様々な紫色の幅が生まれた。切断面に白が残るように、紙は水彩紙の中でも表面に撥水性を持ち、中心部まで浸透しないものを選んだ。紙に切り込みを入れ続けることは、その素材と関わった時間の集積そのものであり、私の呼吸が同期していく時に得る没入感は、私自身が“私”の存在を改めて問う時間でもある。そういった連続した行為が、目に見えないものとの距離を測り、そこに現れる“光”を彫刻として表現する。

切断面の白を生かすために、いくつか筒状に紙を接着し、立ち上がらせた。それを核にして、紙の面 が生み出す流れに合わせながら成形した。紙にインクが浸透していくことは、紙の微細な多孔構造体、つまり紙の中の空気の部分に、インクが入っていくことである。インクと空気が繋がり、目に見ることができなかった空気が可視化される。

こうして、実際には素材の内面にあった目に見ることができないものが実体化していくのである。

そして私はある時、紙にインクを含ませる行為が、植物に水を与えているような感覚を持った。規格を持つ既製品である紙がインクの浸透圧による色の変化によって、膨大時間そのものを定着させる。それは、植物の葉や蔓が伸びるようにその先にある時間を想起させ、花が咲くように残るだろう。

野村美術賞受賞 特別展

会期
2023年7月1日 – 7月2日
オープン
会期中の金、土、日 13:00 – 18:00 ※会期中の他の日程の観覧をご希望の場合にはご予約ください。
会場
aaploit, Tokyo

植松 美月

1995年生

植松美月は、反復する行為が素材と身体のあいだに何を発生させるかを問い続けている。鉄を叩き、紙を切り、同じ動作を気の遠くなる時間のなかで繰り返す制作過程において、行為はやがて自身の呼吸と同期しはじめる。作品上に残る痕跡は、完成の記録ではなく、その同期が通過した証である。1995年兵庫県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻博士後期課程修了、博士(美術)。

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