松下みどりの個展 「彼此方の」を aaploit で12月1日(金)から12月17日(日)まで開催致します。
松下は、京都芸術大学大学院の日本画分野に在籍し、日本画の伝統的な画材と技法を駆使しながら、モノと事柄の複雑な関係性の表現に挑戦しています。松下の作品は自然と人間の相互作用、存在の無常性、そして内面の葛藤に焦点を当て、それらの要素を日本画の素材と結びつけて表現しています。
対比や並置される異なる要素の間の関係に深い洞察を持ち、それらの結びつきを独自の視点で探求しています。松下の作品は、日本画の伝統と創造性を組み合わせ、物質と精神、外界と内界の対話を描き出しています。作品制作のプロセスは日本画の素材と技法を用いつつ新たな表現を模索しています。
見るひとに物質と精神の交わりを深く示唆させるように制作しています。
《たちけぶる》は、寂連法師の百人一首の八十七首から着想しています。
村雨の 露もまだひぬ 槙の葉に 露たちのぼる 秋の夕暮れ
にわか雨が過ぎた後の葉にたちのぼる霧、ここから着想を得ました。松下は作品制作に火を用いますが、その火をかけて烟るとし、火の熱と水の流れの関係性を示そうとしています。
画面を渦巻くように流れる水のような動きが、中央の赤色を取り囲むように包んでいます。画面の左手側は薄く、右手側が濃く、それは水の流れを連想させます。中央の赤には、ひときわ明るい白が差し込まれており、熱を発しているようにも見えます。中央の焔と、その熱によって動かされる水、炎の熱と水の流動性、それらが画面の中を巡っているようです。
岩は永続的なもの、人の一生から見れば変化が無いように見えますが、松下は岩と水の関係性について次のように言います。
岩は標であり、結界である、永遠にも思える姿を示しています。水は姿形を変えながらも流れていき、同じ水とはいえ常に変化していくでしょう。岩は水よって露出し、削られ、穿たれます。永遠にも見える岩も変容していく。
長い視点から見れば、永遠とも思える存在も変化していく。松下は作品制作を通じて、普遍的なモノと流動的なモノ、人と見えざる隣人、対立関係ではない関係性と連続性について示しています。本展では、ヒガンシリーズと百人一首から参照したシリーズを展示します。この機会に松下の個展をご高覧頂けますと幸いです。
展覧会概要
会期:2023年12月1日(金)- 2023年12月17日(日)
オープン時間:金: 15:00 – 19:00, 土: 13:00 – 19:00, 日: 13:00 – 17:00
会場:Contemporary Art aaploit 東京都文京区水道2-19-2 入場無料
Web:https://aaploit.com/ryokusho_hishikatano
※期間中の他の日程(曜日)につきましてはご予約ください。
作家略歴
松下みどり / Midori MATSUSHITA
愛知県出身、2022年に京都芸術大学を卒業、同大学院(修士課程)で日本画分野に在籍しています。
展覧会と作品に関するお問い合わせは info@aaploit.com までメールにてお問合せください