月に浮かぶ、

月に浮かぶ、

植松 美月

2024年3月1日 – 3月31日

この度aaploit (アプライト)では2024年3月1日(金)から3月31日(日)まで、植松美月の個展「月に浮かぶ、」を開催致します。本展覧会は2023年7月に開催した「野村美術賞受賞特別展」に続く二回目の個展となります。

植松美月は鉄や紙を用いた作品制作を行っており、テラスモール湘南、渋谷PARCOなど様々な展示空間で作品を発表しております。

植松が見ている景色、目の前に広がる光景が、自分とは遠いと感じることがあると言います。フランソワ・トリュフォー監督の映画『⼤⼈は判ってくれない』のラストシーン。こちらを見る少年と目が合い、少年の目を通して自分自身を見ているようであり、そこに現実との曖昧な境界を感じたそうです。そして自身が見ている世界が、この映画のようにスクリーンを通したように見える時がある、と。植松の作品制作は、自分自身が世界に関与する、あるいは存在することを確かめるように反復する作業を行います。近年取り組んでいる紙を用いた制作ではハサミ、カッターあるいは手を使って細かく切り込みあるいは切り裂いていき、切ることで変化した紙の表情から形をつくりあげます。

驚異的な集中力によって紙を切り、制作に費やした時間が自身の存在の実感へと繋がる。比較的容易に手に入れることができる紙、これは既製品を我物とする行為であり、ハイデガーの交換可能な自己に対する抵抗であると考えられます。

作家が刻みこんだいつかの時間は実際に作家が注ぎ込んだ時間であり、自身を刻み込んでいるかのようです。

製品は誰かのために用意されています。大きな”誰か”、その”誰か”とは何を示しているのか。植松は反復する作業を施していくうちに彼女の呼吸と同化し、誰かのための品物が我物へと変容していく感覚を得ていきます。世界との隔たりを融解させていく、植松の作品は他者を主体化する行為とも言えるでしょう。本展覧会では既製品と時間との関係性を探求し、相対的な自分自身を見つめることを模索しております。大きな他者を主観によって溶かすことで、相対的な主体者としての萌芽を見せることでしょう。

本展覧会では植松の新しい作品シリーズを提示します。

月に浮かぶ、

会期
2024年3月1日 – 3月31日
オープン
会期中の金、土、日 13:00 – 18:00 ※会期中の他の日程の観覧をご希望の場合にはご予約ください。
会場
aaploit, Tokyo

植松 美月

1995年生

植松美月は、反復する行為が素材と身体のあいだに何を発生させるかを問い続けている。鉄を叩き、紙を切り、同じ動作を気の遠くなる時間のなかで繰り返す制作過程において、行為はやがて自身の呼吸と同期しはじめる。作品上に残る痕跡は、完成の記録ではなく、その同期が通過した証である。1995年兵庫県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻博士後期課程修了、博士(美術)。

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