オープン準備としてのオープニング展
ギャラリーオープンは、どのようなことが必要なのだろうか。aaploit は文京区水道(最寄り駅は有楽町線江戸川橋)にオープンする現代アートを扱うアート・ギャラリーである。ギャラリーといえばアート・ワールドの外側にいる人にとっては非常に敷居の高い場所だろう。アート作品と出会う場所、作品を買う場所であるが、一般的な物販とは事情が異なる。ひとつには購買が伴わない訪問が意味を持つためではないだろうか。作品を鑑賞することや、体験する場所でもあるから。
aaploit はギャラリーの敷居を下げることを目的にしているわけではない。誰しもがアートに触れ、関わっていく世界を見てみたい気持ちもあるが、鑑賞者にはアートを楽しむための準備というのも必要だろう。
aaploit は2022年初夏のオープンを予定している。このオープニング展はaaploitの開業もしくはギャラリーオープン準備の様子をデジタル上で展開することである。内装工事や店舗物件の賃貸、設備・備品の選定から導入まで様々な準備に関わる活動をソーシャル・メディアで発信していく。リアルな場所はあるがWIP展の展覧会期間中は、観客はギャラリーの中に入ることはできない。
タイトルのWIPとはWork In Progressの頭文字であり、作業中あるいは仕掛品を意味する。作業中であり、それ自体では販売ができないとして交換価値の無いものと認識される。会計では仕掛品は流動負債に分類される。製造業や会計以外にもこの言葉は登場する。例えば作成中のプレゼンテーション・ファイルのファイル名につけたりする。間違えて顧客に送付してしまわないように。
このスペースの役割や行きつく先も仕掛中である。展覧会はTwitter、Instagram / Facebook、Discordで展開されていく。それらはギャラリーのアカウント上で展開されていき積層されるだろう。鑑賞者は好きなタイミングで、好きなタッチポイントから鑑賞する。対話としてコメント、リツイート、いいねを行うこともできる。
このギャラリーオープンの詳細は夏頃に出版を予定しているマガジン『REBOOT』に掲載される予定である。
会期の開始がUnknownなのはaaploit の準備がいつ始まったのか、もはや判別不能だからである。最終日はギャラリー準備の完了の日であり、完成の日であるが展覧会の終了の日である。その一日だけこの展覧会はオープンする。
会期:Unknown – 2022年6月25日 ongoing
会場:aaploit