糸生ナナミ, 菊地寅祐 二人展 「Still / Yet」

aaploitでは、糸生ナナミ・菊地寅祐による二人展「Still / Yet」を、2026年2月15日から3月8日まで開催いたします。

私たちは、変化しているものを見ているつもりで、実際には「止まった像」として把握しているのではないでしょうか。動いているはずの出来事や感覚が、ある瞬間、固定されたイメージとして立ち上がる。本展「Still / Yet」は、そのような時間の捉え方そのものを問い直す試みです。

糸生ナナミの絵画には、俯瞰的な視点のもとで、色や痕跡が流動的に重なり合う画面が現れます。そこに見える形は、特定の風景や事物として確定することなく、見るたびに像を探し、同時に手放す行為を促します。糸生の作品は、対象が意味や形象として定まる以前の状態をとどめ、なお進行し続ける時間を画面に残しています。

糸生ナナミ, 《ここに、幽玄》, 2025年, キャンバスに油彩, 1455 × 1120 mm, ©2025 糸生ナナミ, Courtesy of the Artist

一方、菊地寅祐は、樟木による木彫を通して、急激な変化や制御不能な出来事を、自身の時間の中へと引き延ばしながら制作を行っています。本展に向けた新作《Gray》は、レリーフとして構成され、画面には、かつてのメディア体験や記憶の断片が、ノイズのように浮かび上がっては、次第にかき消されていきます。加速する世界と並走しながら、彫刻はみずからの速度で進み続けます。

参考作品:菊地寅祐, 《jam》, 2025年, 樟, 3000×3700×800 mm, ©2025 菊地寅祐, Courtesy of the Artist

糸生の絵画は、像が定まらない状態を通して時間を示し、菊地の彫刻は、出来事を引き延ばすことで時間を刻みます。素材も制作のスピードも異なる二人の作品は、「変化が一度とどまる瞬間」という同じ問いを、異なる方向から扱っている点で交差しています。

本展で提示されるのは、流動そのものではなく、流動が一時的に像や物質として留まる瞬間です。「Still(静止)」でありながら、「Yet(それでもなお)」動き続ける状態。両者の作品は、加速とは異なる時間のあり方が存在しうることを、それぞれの方法で示しています。

本展は、作品を即座に理解する場ではなく、見る行為そのものの速度が揺さぶられる場として構成されます。鑑賞者は、止まっているようでなお続いている時間の中に身を置きながら、像が成立し、また崩れていく過程を経験することになるでしょう。

本展および作品に関しましてのお問合せは info@aaploit.com までお願いします。

展覧会概要

Still / Yet

会期
2026年2月15日(日)から2026年3月8日(日)
時間
会期中の金、土、日 13:00 – 18:00
※会期中の他の日程の観覧をご希望の場合にはご予約ください。 
会場
aaploit 東京都文京区関口1-21-17 TMKビル 2階

出展作家

糸生 ナナミ / ITO Nanami

展示歴(抜粋)

2026
「アンビバレンス」、MEDEL GALLERY SHU、東京
2025
「終焉、、いいえ、それは曖昧で」、女子美術大学、東京
「天使のための願望は」、gallery33、東京 
2024
「第11回未来展」、日動画廊、東京

菊地 寅祐 / KIKUCHI Torasuke

展示歴(抜粋)

2025
「夕暮れを待つ星」、クマ財団ギャラリー、東京
2024
「木と生きる 木の可能性を知る、6日間」、東京ミッドタウン、東京
「KUMA experiment 2024-25」、クマ財団ギャラリー、東京
2023
「未来の大芸術家たち」、平成記念美術館ギャラリー、東京
2022
「MASK」、powderroom,Uptown KoenjiGallery、東京
2021
「まだその時ではない」、創英ギャラリー、東京

受賞歴(抜粋)

2025
artの力賞、東京藝術大学
2024
クマ財団クリエイター奨学生(第8期)
2023
サロン・ド・プランタン賞、東京藝術大学
平成芸術賞、東京藝術大学