人形作家・彫刻家の佐藤来夢の個展「still life with innocence」を2025年4月11日から4月27日まで開催いたします。
佐藤来夢は、人形作家であり彫刻家でもあります。球体関節人形を独学で習得し、人体彫刻を学ぶため東京造形大学の彫刻専攻に入学し、さらに修士課程で彫刻に取り組みました。さらに人体への理解を深めるため医学部の解剖学研究室に内地留学し、人体に対する理解を深めてきました。佐藤の人形作品は、人体彫刻の技術と球体関節人形を融合させた独自のスタイルで注目を集めています。
佐藤の作品は人体解剖学的な正確さを示しつつも、球体関節が人形であることを明示しています。人と同じ姿を持ちながら明らかな無機物と向き合うとき、静物画が花や果物などの無生命を描きながらも生命を表現していたように、佐藤の作品も人形の形態を通じて人間の本質を探求しています。

本展では人形という媒体を通して、生物と無生物という対立概念の境界を探求します。粘土で形作られた人体表現と球体関節の機構が露わになった作品は彫刻としての静的な佇まいと、人形としての潜在的な動きの可能性を内包しています。これは「静止した生命(still life)」という言葉が持つ逆説性とも響き合い、「生命らしきもの」と「明らかな非生命」という二つの相反する認識を同時に鑑賞者に喚起します。この認知的不協和こそが、佐藤の作品の魅力のひとつです。

佐藤の作品は、人体を正確に立体化していた古典的な人体彫刻の伝統を継承しながらも、現代的な解剖学的理解と独自の人形制作技術によって新たな表現に到達しています。その背景には、西洋美術における静物画や解剖図の伝統があり、「物質に宿る魂」という普遍的なテーマへの探求があります。
本展および作品に関しましてのお問合せは info@aaploit.com までお願いします。また、コミッション制作につきましてもお問合せください。
展覧会概要
still life with innocence
- 会期
- 2025年4月11日(金)から4月27日(日)
- 時間
- 金、土、日の13:00-18:00
※会期中の他の日程(曜日)につきましてはご予約ください。 - 会場
- aaploit 東京都文京区関口1-21-17 TMKビル 2階
佐藤 来夢 / Raimu SATO
2016年から独学で人形制作を開始。2023年より現在まで 順天堂大学 医学部 解剖学研究室 特別研究生および美術解剖学の教育と普及に関わる集団Anatomy tutorialsに参画。
- 2023
- 東京造形大学 彫刻専攻 卒業
東京造形大学 大学院 美術研究領域 入学 - 2025
- 東京造形大学 大学院 美術研究領域 修了
展示歴(抜粋)
- 2024
- 『ANATOMICAL ROOM』(ギャラリー・ルヴァン、東京)
『「間〜あわい〜」創作人形3人展』(キチジョウジギャラリー、東京) - 2023
- 『in view』(ギャラリーいちょうの木、東京)
『ハイカラ〜モダンボーイ&モダンガール展』(藤野美術館、兵庫)
『生まれては消えるもの』(gallery hydrangea、東京) - 2022
- 『金魚たちの見る夢は2022』(コルメキッサ、神奈川)
『空想癖』(コルメキッサ、神奈川) - 2021
- 『for you,…&for me』(コルメキッサ、神奈川)
『金魚たちの見る夢は』(コルメキッサ、神奈川)
『自分の部屋に聖域を〜My sanctuary〜』(コルメキッサ、神奈川) - 2020
- 『夢見る少女たち』(ミ・アモーレgallery、東京)