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植松美月 野村美術賞受賞 特別展

この度 aaploit では植松美月の野村美術賞受賞を記念し、7/1と7/2の二日間、特別展を開催します。植松は東京藝術大学 美術研究科 彫刻専攻 博士後期課程を修了しました。

植松は紙を使った彫刻作品を制作しており、東京藝術大学の博士審査展で提示された作品は、圧倒的な存在感を示していました。

本展示では新作二点を提示します。

植松美月 野村美術賞受賞
咲きひらいて 吹き下ろす 瞬き

アーティストによる作品説明

紙に水を含ませる行為に花の要素を感じたことから、ひとひらの花びらが生まれるまでのエネルギーを制作することを考えた。またその花は、太陽エネルギーを受けて咲きひらくイメージから、作品タイトルを決めた。インクの色は、青を空、赤を太陽の色としてそれぞれ選択した。

紙が入るサイズのパッドに青のインクを溜め、紙の全体を染め、スポイトで赤のインクを垂らし、再び青のインクに沈ませ、赤のラインを残しつつ混色する。繰り返すうちに、様々な紫色の幅が生まれた。切断面に白が残るように、紙は水彩紙の中でも表面に撥水性を持ち、中心部まで浸透しないものを選んだ。紙に切り込みを入れ続けることは、その素材と関わった時間の集積そのものであり、私の呼吸が同期していく時に得る没入感は、私自身が“私”の存在を改めて問う時間でもある。そういった連続した行為が、目に見えないものとの距離を測り、そこに現れる“光”を彫刻として表現する。

切断面の白を生かすために、いくつか筒状に紙を接着し、立ち上がらせた。それを核にして、紙の面
が生み出す流れに合わせながら成形した。紙にインクが浸透していくことは、紙の微細な多孔構造体、つまり紙の中の空気の部分に、インクが入っていくことである。インクと空気が繋がり、目に見ることができなかった空気が可視化される。

こうして、実際には素材の内面にあった目に見ることができないものが実体化していくのである。

そして私はある時、紙にインクを含ませる行為が、植物に水を与えているような感覚を持った。規格を持つ既製品である紙がインクの浸透圧による色の変化によって、膨大時間そのものを定着させる。それは、植物の葉や蔓が伸びるようにその先にある時間を想起させ、花が咲くように残るだろう。


開催概要

会期:2023年7月1日(土)- 2023年7月2日(日)
オープン時間:土: 13:00 – 19:00, 日: 13:00 – 19:00
※通常とは営業時間が異なりますのでご注意ください
会場:Contemporary Art aaploit 東京都文京区水道2-19-2 入場無料
Web:https://aaploit.com/mizuki_uematsu_exhibition


作家略歴

兵庫県出身、東京都在住。
2018 日本大学芸術学部美術学科彫刻コース 卒業
2020 東京藝術大学美術研究科彫刻専攻 修了
2023 東京藝術大学美術研究科彫刻専攻博士後期課程 修了

受賞歴

2023 野村美術賞 受賞
2020 藝大アーツイン丸の内2020三菱地所賞 受賞
2019 平山郁夫奨学金 授与
2018 公益財団法人北野生涯教育振興会彫刻奨学金 授与
2017 国際瀧冨士美術賞特別賞 受賞

グループ展

2022 《東京藝術大学大学院美術研究科博士審査展2022》(東京藝術大学/上野)
2021 《柳瀬山荘と彫刻》(柳瀬荘/所沢市)
2020 《第68回東京藝術大学修了展》(東京藝術大学/上野)
2020 《芸大アーツイン丸の内》(丸の内ビルディング/大手町)
2019 《石・土・金 多様な素材の中で》(gallery SOL/銀座)
2019 《tokunsterlem》(ヴェストファーレン・ヴィルヘイム大学/ミュンスター)
2019 《公益財団法人北野生涯教育振興会 彫刻奨学生作品展》 (日本大学芸術学部/江古田)
2018 《東京五美術大学連合卒業 ・修了展》 (国立新美術館/六本木)

コレクション

2022 東京藝術大学美術館 収蔵
2021 チャームケア御殿山 エントランス
2019 山梨県笛吹市 大窪いやしの杜公園
2018  西馬込Ⅴプロジェクト[アジールコート西馬込]マンションエントランス

その他

2019 神山アートインホテル/レジデンス
2019 国際彫刻研究プロジェクト参加(ミュンスター)/レジデンス
2019 スタンレー電気株式会社/作品レンタル(2019.05-2020.05)
2019 東海さるく(延岡、宮崎県)/レジデンス・ワークショップ
2018 Big on Bloor Festival(トロント、カナダ)/ワークショップ


アーティスト、作品に関するお問い合わせは info@aaploit.com までお願いします。