熊谷 綾乃 個展「Tidal – Logos on the Flat」

aaploit(アプライト)では、2026年4月11日(金)から4月26日(日)まで熊谷綾乃の3回目の個展「Tidal – Logos on the Flat」を開催します。

ブランドロゴは欲望の接続装置である。所属や成功といったイメージへ人を繋ぎ、衣服は身体を離れた後もその接続を維持し続ける。古着には前の持ち主の身体の痕跡が残り、ロゴはその欲望を媒介する記号として付随している。熊谷綾乃は、ブランドロゴを伴う古着を「既に成立した欲望の痕跡」として選択し、工業用ミシンと手仕事による刺繍で介入する。

参考作品:LOGOS _ TIDALシリーズ

ここで行われているのはブランドへの批判ではない。欲望が循環する構造の内部に、別の層を重ねる試みである。熊谷が施す植物的なモチーフは、消費とは異なる時間のリズムを衣服の表面に挿入する。ロゴは消されず、花弁の下で呼吸するように残る。破壊ではなく共存。二つの時間が同じ布の上に重なる。

ブランドロゴが形成する市場的序列は、社会的な欲望という引力によって常にその水位を変動させている。それはさながら抗えない潮の満ち引きのようである。本展では、全作品を一律価格で提示する。潮を引かせ、序列の地形をフラットな干潟へと引き戻す。鑑賞者がどの作品の前で立ち止まるか、無意識にブランドの格付けを行ってしまうその視線のふるまいさえも、本展は作品の一部として取り込む。

2022年の個展「altitude」で熊谷は高山植物の生命の在処を探った。2025年の「Imprint – Texture of Logos」ではブランドロゴの表層に身体的な痕跡を刻み込んだ。本展「Tidal – Logos on the Flat」は、その地層をさらに掘り下げる。アパレルの生産・流通の現場に身を置いていた熊谷は、システムの外部からではなく内部から介入する。本展の作品は、観る、着る、所有する、使う、という四つの態度に開かれている。作品は終点ではなく、次の欲望の入口である。

本展覧会、作品に関してのお問合せは info@aaploit.com までメールにてお願いいたします。

展覧会概要

Tidal – Logos on the Flat

会期
2026年4月11日(金)から2026年4月26日(日)
時間
会期中の金、土、日 13:00 – 18:00
※会期中の他の日程の観覧をご希望の場合にはご予約ください。 
会場
aaploit 東京都文京区関口1-21-17 TMKビル 2階

熊谷 綾乃 (くまがい あやの)/ KUMAGAI Ayano

1990
長野県出身
2014
東京造形大学 造形学部 デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻領域 卒業
2016
東京造形大学 大学院 デザイン研究領域 修了

展示歴(抜粋)

2025
“Imprint – Texture of Logos”, aaploit, 東京
2022
“altitude”, aaploit, 東京
“SICF24”, スパイラル, 東京
2017
“済州国際工芸ビエンナーレ”, 済州市, 韓国
2015
“岡山県主催アーティスト・イン・レジデンス”, 備中アートブリッジ, 岡山

受賞歴

2018
日本クラフト展 招待審査員須藤玲子賞受賞
2016
The 2nd. Young Textile Art Triennial – YTAT 2016入選(ポーランド開催)
THE DOROTHY WAXMAN TEXTILE DESIGN PRIZE入選(NY開催)
東京造形大学大学院デザイン研究領域造形賞受賞
2015
ギャラリースペースパウゼ主催 コンテンポラリーミニテキスタイルコンペ入選
工芸都市高岡クラフトコンペティション入選
日本クラフト展読売新聞社賞受賞

その他

2023
タジマ社の刺繍機械のためのサンプルブックを制作