干物脱走
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干物脱走

2026

メディウム

メゾチント, パネル, かきた, 油性インク

サイズ

1420 × 920 mm (55 ⅞ × 36 ¼ inches)

エディション

3

縦長の画面のほとんどが黒に覆われている。上方から差し入れられた手が縄を握り、そこに数匹の小さな魚が連ねられている。干物にされ食材として束ねられてなお、食べられることから逃れようとする。不条理でありコミカルでもある脱走劇である。

メゾチントの黒。萩中茉優にとって、この黒は六年にわたる探求の末に選び取られたものである。ベルソーの番手、刃の摩耗、目立ての回数と方向。同じモチーフを何十と刷り分けながら、理想とする黒に近づいていく。画面の黒は吸い込まれるようでありながら、光を内包しているようでもある。深く沈み込む黒があるからこそ、研磨された白が輝く。

下方に浮かぶスポットライトの白は、これから始まる物語の幕開けを思わせる。縄から逃れた干物は立ち上がり、仲間を見る。縄に縛られた魚たちもまた、それぞれに足を持つ。鱗の質感も、目の向きも、身体のひねりも、一匹ずつ異なっている。匿名の食材として一括りにされた個体のひとつひとつに、固有の顔がある。

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