グループ展「hyperLOG」開催のお知らせ

aaploitでは、2025年5月9日から5月25日まで、大越円香キュレーションによるグループ展「hyperLOG」を開催いたします。本展はaaploitにおいて初めてアーティスト自身がキュレーターを務める展覧会であり、メディアアートにおける保存性と技術革新の関係性を問う重要な試みとなります。


『残すことへの欲望』hyperLOG

 メディアアートは、テクノロジーの発展と資本主義の中で変容し続けてきた。その中で、多様な表現や議論が生まれ、私たちはその状況を現在も目の当たりにし続けている。また、技術革新や市場の期待によって変化する表現媒体は、メディアアートの保存や修復、再現性に問題提起する。「作品を残すこと」に限らず、アート市場における価値形成とも直結する。

 そしてメディアアートは、テクノロジーの発展とともに、作品の意味や機能も変化させる。テクノロジーを利用して作られた作品及び、テクノロジーをメディウムとして使用している作品がある中で、メディアアートの作家は、作品を自己言及的に考える必要がある。技術革新の中で、テクノロジーとメディアアートの本質、そしてその批評性を問い直したい。

 本展は、メディアアートのメディウム性と制作プロセス、表現的価値について考察する機会とする。美術や工学、社会学など、多様なバックグラウンドを持つ作家によって、博物学的視点を持ちながら、現代美術の展覧会として位置付ける。表出するテクノロジーの共通性と差異から、メディアアートの本質と批評性を探る。

 展示タイトルの一部である「hyper」は、ハイパーテキスト、ハイパーリンクなど、インターネット上で複数のファイルやページを結びつける行為に用いられる単語である。本展は、5組の作家によって構成される。5組の試みが相互に複合し、新たな価値を記してくれるだろう。したがって、本展のタイトルを「hyperLOG」とする。

参考文献

久保田晃弘, 畠中実. メディア・アート原論 あなたは、いったい何を探し求めているのか?. 初版. フィルムアート社, 2018.

レフ・マノヴィッチ. ニューメディアの言語―― デジタル時代のアート、デザイン、映画. Translated by 堀潤之. 初版. みすず書房, 2013.


本展覧会「hyperLOG」に関してのお問合せは info@aaploit.com までお願いします。 

展覧会概要

hyperLOG

会期
2025年5月9日(金)から5月25日(日)
時間
金、土、日の13:00-18:00
※会期中の他の日程(曜日)につきましてはご予約ください。 
会場
aaploit 東京都文京区関口1-21-17 TMKビル 2階 

参加アーティスト

岩崎広大 / Hiromasa Iwasaki

人間以外の視点から環境や風景にアプローチするため、昆虫標本に風景を印刷した「かつて風景の一部だったものに、風景をプリントする。」シリーズや、昆虫が羽化する際に開けた樹皮の穴を利用したピンホールカメラで撮影を行う作品「LANDSCAPER」、を制作する。また、行き場のない昆虫標本の新たな居場所としての昆虫図鑑『NO-RECORD-FOUND CERTIFICATE – 759 Insects –』を出版した。 

2017
東京藝術大学 絵画科油画専攻 卒業 
2021
東京藝術大学 大学院 美術研究科 油画専攻 博士前期課程 修了

《かつて風景の一部だったものに、風景をプリントする。》(2021) photo: 松尾宇人 / Ujin Mtsuo

江口 智之 / Eguchi Tomoyuki

美術館をバックグラウンドに持つ意識から、美術という言葉の持つ力学に興味を持つ。美術の特権性及び、公益性についての研究・制作を行う。

2022
多摩美術大学絵画学科油画専攻 卒業
2024
東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻 修了

《3分(ルーブル美術館, マルリーの中庭 )》(2025)

ニセテクスチャ / nisetexture

単純・退屈で繰り返される、日常の行為や生活の作業を、ニセテクスチャ(物や事における偽物の質感、手触り、表面の様子)によって覆い隠す・反転させることを目的に、2024年より活動を開始したゲイジュツ・チーム。オオタソラと小林玲衣奈が参加。主な活動は飲み会をした後にその街を一晩中歩くこと。趣味は街にある木材が本物か確認すること。

2024
結成

《リビングルーム・トレーニング》(2024)

久山 翠 / Hisayama Midori

一方に私の感性を触発するイメージがあり、他方には触発しないイメージがある。そこにはどのような違いがあるのかを私は知りたい。
自身の感性の類型学として、これらの絵はある。

2022
多摩美術大学絵画学科油画専攻 卒業

《警戒する犬》(2025)

森田 茉莉 / Morita Mari

電子工作や3Dスキャンなど身近なデジタル技術を用いて、自分の身体や他者、身のまわりのモノとの新しい関係を探っている。ジャンルを越えて手探りの実験を繰り返しながら、技術の潜在的な可能性を発見し、慣れ親しんだ感覚を揺さぶるような表現を試みている。また同時に、自分の作品が他者の視点や専門分野と交わり、思わぬ方向へ広がっていくことも目論んでいる。

2021
早稲田大学基幹理工学部表現工学科 卒業
2024
早稲田大学大学院基幹理工学研究科表現工学専攻 修了

《ぬけがらメトリ》(2023)

キュレーター 大越 円香 / Madoka Okoshi

主に、スマートフォンによって変容した人間の知覚と社会を捉える芸術実践を試みる。スマートフォン登場以降のデジタル画像の見方の変化や視座の変遷をテーマとし、xR技術やiOSアプリケーション、スマートフォンに搭載される様々なセンサーを元に考察を行う。私たちを取り巻くテクノロジーと世界の見方を問い直し、新たな視点を投げかける。

2020
秋田公立美術大学美術学部美術学科ビジュアルアーツ専攻 卒業
2023
情報科学芸術大学院大学(IAMAS)メディア表現研究科博士前期課程 修了
2025
名古屋大学大学院情報学研究科社会情報学専攻博士後期課程 在学