伊藤 雅浩はアーティストであり、プログラマです。カメラで撮影して得られた写真はカメラを作ったエンジニアの作品ではないか、とヴィレム・フルッサーは指摘しました。カメラで写真を撮る。そうして立ち現れた写真作品は実はカメラに組み込まれたアルゴリズムによって「写ってしまった」に過ぎないのではないか。伊藤は写真をアーティストの手に取り戻す、そうした思いから写真と向き合い、作品制作を実践してきました。アーティストでありプログラマーである伊藤は、写真を創造するアルゴリズムを創り出しました。理路整然としたロジックが求められるプログラム、ここに情熱を注ぎこむ。伊藤の作品には数式的な難解さが感じられますが、この情熱によってなのか温かみを感じます。