2023年6月9日(金)から6月25日(日)まで、なんやゆうきの個展「流転の澱」を開催致します。なんやは名古屋芸術大学で洋画を学びました。彼女は生生流転と感情の明暗・浮き沈みをテーマに作品制作をしております。
生生流転とは、広辞苑によれば “万物は永遠に生死を繰り返し、絶えず移り変わってゆくこと” です。生まれ変わり死に変わって、いつまでも変化しつづけるということは、死んでも命が何らかの痕跡を残すことを含み、永遠の変化としても解釈されます。
個人の感情は文化的、時代的な背景や価値観によって変容していきます。デジタル技術の進化やグローバル化などは自分自身の立ち位置を混乱させるようなスピードで流れていきます。現代の変化の速さは、感情の表出さえも早回しを要求しているようです。
アーティストが取り組んでいるのは、生まれた命の変容と生命の痕跡を捉えることです。ネガティブな感情もポジティブに捉え、裏表の感情、愛憎を包含するかのような流転する命の痕跡を作品に表現する、あるいは繋ぎとめるように制作をしています。
《流転の澱》は、青と橙の不定形な形が画面の大半を占めております。有機体を連想させる形は眼球、瞳あるいは魂を連想させます。そうした画面に立ち現れる無垢な笑顔、子供のようであり、その頭髪の部分からは、画面全体を覆う青と橙が表出しており、そこから画面全体に広がる有機体のイメージと頭髪のイメージが連関していきます。画面右上には、頭を傾げた顔が表れており、笑顔との対照的な関係性が表れております。
流転とは生々流転のことを示し、澱は生命の痕跡を表しております。また、澱は檻にも通じ、思春期の窮屈さ、閉塞感にも通じています。自身が持っている属性、女、男、長女、長男、自分につけられたラベルによる周囲から見た好ましい振る舞い方とのギャップは、窮屈で檻の中にあるように感じられた。制作に打ち込むことで転換し、檻を抜け出した。とはいえ痕跡としての澱は残る。忘れ去るのではなく、そうしたことも自分の属性として合わせ、飲みこんでいく。感情の絶対値としての昇華、生きる力を与えてくれるのではないでしょうか。
本展では、《流転の澱》を含むなんやの新作ペイントとドローイングを展示します。この機会にご高覧頂けますと幸いです。
開催概要
会期:2023年6月9日(金)- 2023年6月25日(日)
オープン時間:金: 15:00 – 19:00, 土: 13:00 – 19:00, 日: 13:00 – 17:00
会場:Contemporary Art aaploit 東京都文京区水道2-19-2 入場無料
Web:https://aaploit.com/yuuki-nanya-sediment_of_flux
※期間中の他の日程(曜日)につきましてはご予約ください。
作家略歴
なんやゆうき / Yuuki NANYA
岐阜県出身、2023年に名古屋芸術大学を卒業。在学中は洋画を学び、積極的に学内外で作品を発表してきました。生命と感情、それらを練りこむような作品制作をしております。2000年生まれ。